やる気の出ない子どもへの説得方法|動機づけ面接の魅力に迫る

「宿題しなさい!」

「寝てばっかいないで、勉強しなさい!」

 

あなたはやる気があまりないお子さんを見て、ついついこの様に声を荒げてしますかも知れません。

 

「勉強しないと、もうご飯抜きよ」なんて説得しようとしてもうまく行かない状態に、イライラしているかも知れません。

 

そんなお悩みの親御さんに、子どもに対して上手に説得することなく、子どもの行動を変える方法を、動機づけ面接という方法を交えてお伝えします。

 

やる気のない子供へ 動機づけ面接のポイントとなる視点2つ

 

動機づけ面接とは、提案を拒否する方や迷っている人に対して、「話を丁寧に聞いていくこと」で、信頼関係を作り、その人の個人的な価値観や目標を引き出していく面接法です。

動機づけ面接を行っていくことで、

  • 最初は「学校に行きたくない」と悩んでいる不登校の学生が学校に行ける様になったり、
  • 勉強しなきゃと思っている子どもが勉強時間を増やせた

という話は現場でちらほら聞かれてきます。相手に強制したり命令しているわけではないのですが、相手を説得することなく、相手の行動を変容できたと現場でも徐々に広がり始めています。

 

動機づけ面接をする際に、ポイントとなる視点は大きく分けて2つあります。

 

1つ目は、困っている子どもたちは「両価性の状態」で苦しんでいるという視点です。

たとえば、先程の不登校の子どもを例に取ると、「学校に行かなきゃいけない・でも行くことはしんどい」という正反対のことを同時に感じて迷っています。そのため、迷っていて、決められない子どもたちを安易に「はやく決めなさい」と言ってしまったり、「何も決められないなんて、やる気がないのね」と責めるのではなく、迷ってしまう子どもの気持ちを理解し、「大事なことだし迷ってしまうよね。一緒に考えようか?」などと相手を受容する姿勢で関わってみてください。

 

2つめは、子どもたちの個人的な目標や希望を大事にしてほしいという視点です。

動機づけ面接とは、動機が曖昧な人や、動機がない人に対して、動機づけすることで、その人の行動を変化させるような、強い「心の支え」となる動機をみつけ、強化し、行動を変化させる面接法です。例を挙げると、勉強をする気のない高校生に対して、彼を受容しながら話を聞いていく中で、彼が「やりたい」、「楽しい」、「好き」と思える何かを一緒に見つけて行きます。その上で、彼が将来、「何をしたいのか」という将来の夢や希望を彼自身に表現してもらいます。自分が●●したいという言葉を表現するまでには時間がかかるかも知れません。しかし自分でやりたいことを自ら表現したことで、誰かに言われて何かをやらされるよりも、より生き生きと実行する可能性が高いです。

 

  • 子どもたちがなかなか決められないことを責めない。(むりやり説得しない)
  • 子どもたちが自分でやりたいことや将来の希望を子どもたち自ら表現させてあげる。

 

この2点が重要です。

 

やる気のない子どもへの動機づけ面接の活用方法1 まずは受容する

続いて、やる気のない子どもへの動機づけ面接の活用方法です。

 

まずは、子どもの言葉を受容することです。例えば、勉強しなさいと親御さんが思っているケースを考えてみましょう。子どもは、「勉強しなきゃ」と思いつつ、「勉強するのが嫌だな…」という正反対の気持ちを抱えているかも知れません。その正反対の気持ちの両方を抱えているので、「どうしよう」とモヤモヤしながら、過ごしているかも知れません。

 

まずはそのもやもやした気持ちを持った子どもを受容しようとしてください。難しいことだとは思うのですが、相手の言葉に対して「●●って思ってるんだね」のような声掛けをすると良いと思います。例えば、「勉強しなきゃ、って思ってる反面、勉強するのが嫌だなって思う気持ちがあるんだね。」などと相手の気持ちを受け止めようとしてみてください。

 

親御さんが、この様に受容せず、「勉強しなさいよ。受験生でしょう」といってしまうと、子どもは、「勉強しなきゃ、でも勉強するのが嫌だな」とモヤモヤと葛藤しているので、場合によっては親御さんへの反発心から「じゃあ勉強しない!勉強するの嫌」と思ってしまい、その通りの行動をしてしまうかも知れません。これは、2つの相反する気持ちでもやもやする子どもたちは、自分のもやもやした気持ちのバランスを取りたいと思うため、親御さんが一方の気持ちを尊重してしまうと、親御さんが尊重しない気持ちの方の行動をしてしまうかも知れません。

 

やる気のない子どもへの動機づけ面接の活用方法2 現状出来ている部分・良い部分を褒める

次に、現状出来ている部分を褒めてあげてください。

 

人は、褒められるとその関係性を維持しようと思ったり、褒める人は自分を傷つけない良い人だと考えてしまいがちな人間心理があります。(動機づけ面接は人間の褒められた時に、関係性を維持しようとする特性を上手に使っています。)

 

そのため、子どものいいところをほめてみましょう。

 

例えば、不登校気味だった子どもが「学校には行ったけど、教室には入れなくて、校門を入ったらすぐ帰ってきちゃった」と話してくれたとします。その場合、「学校に行こうと思って頑張ったんだね。しかも家のドアを開けて、学校まで行ってみたんだね。とっても勇気がいったんじゃないかな…。頑張ったね。」のように、相手が出来ている部分を部分的にみつけ、少しオーバーなくらい褒めてあげてください。

 

また、子どもを褒めるメリットは他にもあります。

 

やる気のないように見える子どもは、そもそも自己肯定感が低い場合があります。自己肯定感が低いため、「生きる希望」や「生きる喜び」がなくて、何かを「がんばろう」と思う気持ちが育っていない可能性があります。そのため、やる気のないように見える子どもに対して、「すごい」、「がんばったね」と伝えていくことで、子どもたちが自信を少しずつ育まれていく可能性があります。少しずつ自信が育まれていくことで、「自分は●●したい」という希望が少しずつ芽生えてくるかも知れません。子どもを褒めていくことで、少しずつ希望が芽生え、何かを頑張る動機を見つけられるのかも知れません。

 

やる気のない子どもへの動機づけ面接の活用方法3 本人に選ばせる

動機づけ面接のポイントは、本人に選ばせることです。子ども自身に「こうしなさいよ」とおしつけるのではなく、子どもが、どうしたいのか、どうなりたいのかという気持ちを引き出していきます。

 

例えば、受験勉強をしなきゃと思っているけれど、勉強ができない子どもがいるとします。

 

子どもが勉強しなきゃと思っているけれど、勉強が出来ないというもやもやした状態にたいして、「勉強しなきゃと思っているけど、なかなか勉強する!って思いきれないんだね」と受容します。その上で、「勉強しなきゃ」と思っていることを伝えてくれたことを「伝えてくれてありがとう」、「勉強しなきゃ」って思えていてすごいね!と褒めていきます。

 

その上で、「どうして勉強したいって思っているの?」、「どのように勉強したいって思っているの?」という言葉をかけながら子どもたち自身に考える時間を作ってもらいます。子どもたちの中には、どうして?という質問に対して、考える力がまだ育っていない子もいるかもしれません。その場合、聞く側も一緒に考えながら、「どのように勉強できるんだろう?」、「どうして勉強したいんだろう」と思っているか言葉にしていきます。

 

子どもたち自身が考えることで、自分の考えが整理される可能性があります。考えを整理することで、自分はどうしたいのかという将来の展望や希望が見えてくるかも知れません。

 

以上、動機づけ面接の理論を用いて、実際に子どもたちに使えそうなエッセンスを3つお伝えしました。

 

動機づけ面接とは?ミラー博士の偉業を解説!

 

さてここまで説明してきた動機づけ面接ですが、これらは臨床心理士である、ウィリアムミラー博士が主になって開発されたカウンセリング方法です。

 

1983年にミラー博士が発表した1本の論文がもとで動機づけ面接は広まりました。

 

動機づけ面接は、悩みを抱えているクライエントさんの中にある両価性(矛盾して正反対の考え)に注目し、それらを解消するために、クライエントさんとセラピストが一緒に考えていくことで、悩みを解決し、クライエントさんが自分の「望みや希望」に気づき、その望みに動機づけされて行動が変わるという面接法です。

 

これらは、アルコール依存症等依存症治療であったり、糖尿病患者の血糖値コントロールや摂食障害等の治療でも使われているとても有名な面接法です。この面接法は、社会福祉士さんや精神保健福祉士さん、臨床心理士等の心理士さんの間でトレーニングされています。

参考:William R. Miller (原著)(2007)動機づけ面接法―基礎・実践編

 

まとめ

ここまでお読みいただきありがとうございます。やる気がないように見えるお子様を抱えていて、親御様も不安かも知れません。そんな時に、子どもたちも、正反対のことを考えて不安を感じていたり、迷っているかもと思いながら、動機づけ面接のエッセンスを使うと、子どもたちも変わるかも知れません。

 

とはいえ、「うちのケースはどうすればいいの?」等各ご家庭や子どもさんのニーズによってもお悩みは尽きないと思います。

 

私達は受験勉強や大学受験に関する無料相談を実施しています。お子さんのニーズ、ご家庭のニーズに合わせて、お話を聞きつつ、アドバイスをしています。もし些細なことでもお悩みがありましたらぜひ弊社にご連絡ください。



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